【GA4中級編】データ探索とカスタムレポートで深掘り分析!サイト改善に繋げる実践テクニック

導入

GA4の基本レポートでサイトの全体像を把握できるようになったあなた。しかし、「なぜこの数字なのか?」「特定のユーザー層はどんな行動をしているのか?」といった、より深い疑問にぶつかることもあるでしょう。標準レポートだけでは、こうした疑問に答えるには限界があります。

この記事では、GA4の真価を発揮する「データ探索」機能と、カスタムレポートの活用方法を解説します。これらの機能を使いこなすことで、表面的な数字の裏にあるユーザー行動を深く理解し、具体的なサイト改善に繋がる実践的なインサイト(洞察)を得るためのテクニックを身につけましょう。

第1章:標準レポートの限界と「データ探索」の必要性

GA4の標準レポート(集客、エンゲージメント、収益化など)は、サイトのパフォーマンスを俯瞰的に把握するのに非常に便利です。しかし、以下のような分析には不向きです。

  • 特定のユーザーセグメントの行動分析: 例えば、「有料広告経由で初めてサイトを訪れたユーザー」の行動だけを追いたい場合。
  • 複雑なユーザー行動の可視化: ユーザーがサイト内でどのような経路を辿ってコンバージョンに至ったか、あるいは離脱したか。
  • カスタム指標やディメンションを組み合わせた分析: 独自のイベントやユーザープロパティを軸に、より詳細な分析を行いたい場合。

これらのニーズに応えるのが、GA4の「データ探索」機能です。データ探索は、GA4に蓄積された生データを、あなたの分析したい視点に合わせて自由に加工・可視化できる、強力なツールです。

第2章:データ探索の基本と主要なテンプレート

データ探索は、GA4の左メニュー「探索」からアクセスできます。

ディメンション(分析軸)と指標(数値)の理解

データ探索では、データを「ディメンション」(例:国、デバイス、ページパス、イベント名)と「指標」(例:ユーザー数、セッション数、エンゲージメント率、コンバージョン数)の組み合わせで分析します。

主要なテンプレートの紹介と使い分け

データ探索には、分析目的に応じた様々なテンプレートが用意されています。

  1. 自由形式:
    • 概要: 最も汎用性が高く、ディメンションと指標を自由に組み合わせて、テーブルやグラフを作成できます。
    • 用途: 特定のイベントの発生状況、ユーザー属性別の行動、カスタムレポートの作成など。
  2. ファネル探索:
    • 概要: ユーザーが目標達成(コンバージョン)に至るまでのステップを可視化し、各ステップでの離脱率を分析します。
    • 用途: 購入プロセス、会員登録プロセスなど、特定の行動フローにおけるボトルネックの特定。
  3. 経路探索:
    • 概要: ユーザーがサイト内でどのようなページやイベントを辿ったかを、視覚的にフローチャート形式で表示します。
    • 用途: ユーザーの行動パターン、コンテンツ間の繋がり、予期せぬ離脱経路の発見。

第3章:【実践】データ探索で深掘り分析!

具体的な分析例を通して、データ探索の活用方法を見ていきましょう。

実践1:特定のユーザーセグメントの行動分析(自由形式)

  • 目的: SNS経由でサイトを訪れたユーザーは、自然検索経由のユーザーと比べて、サイト内での行動にどのような違いがあるか?
  • 手順:
    1. 「自由形式」テンプレートを選択。
    2. 「セグメント」に「ソーシャルメディアトラフィック」と「オーガニック検索トラフィック」を追加。
    3. 「行」に「ページパス+クエリ文字列」、「値」に「エンゲージメント率」「コンバージョン」などを設定。
  • 得られるインサイト: 各チャネルからのユーザーが、どのコンテンツに興味を持ち、どれだけ深くサイトに関与しているかを比較できます。これにより、チャネルごとのコンテンツ戦略やLPの改善に繋げられます。

実践2:コンバージョンファネルの特定と改善点発見(ファネル探索)

  • 目的: 商品購入プロセス(商品ページ閲覧→カート追加→購入手続き→購入完了)で、ユーザーがどこで離脱しているか?
  • 手順:
    1. 「ファネル探索」テンプレートを選択。
    2. 各ステップをイベント(例:page_viewで商品ページ、add_to_cartでカート追加、begin_checkoutで購入手続き、purchaseで購入完了)で定義。
  • 得られるインサイト: 各ステップ間の離脱率が明確になり、どの段階でユーザーが最も多く離脱しているかがわかります。離脱率が高いステップのUI/UX改善や、情報不足の解消に繋げられます。

実践3:ユーザーの行動フローを可視化(経路探索)

  • 目的: 特定のブログ記事を読んだ後、ユーザーは次にどのページを見ているか?
  • 手順:
    1. 「経路探索」テンプレートを選択。
    2. 開始ポイントを特定のブログ記事のページパスに設定。
  • 得られるインサイト: ユーザーがブログ記事から次にどの関連コンテンツに興味を持っているか、あるいはサイト内のどこで迷っているかを把握できます。内部リンクの最適化や、関連コンテンツの提案に役立ちます。

第4章:カスタムレポートとLooker Studio連携で分析を加速

GA4内でカスタムレポートを作成する

データ探索で作成した分析結果は、カスタムレポートとして保存し、定期的に確認することができます。これにより、毎回同じ設定をする手間が省け、効率的なモニタリングが可能になります。

Looker Studio(旧Googleデータポータル)との連携

より高度なダッシュボード作成や、GA4以外のデータソース(Google広告、Google Search Consoleなど)とGA4データを統合して分析したい場合は、Looker Studioとの連携が非常に有効です。Looker Studioを使えば、視覚的に分かりやすいレポートを自動で作成し、チームメンバーと共有できます。

まとめ

GA4の「データ探索」機能は、標準レポートでは得られない深いインサイトを引き出すための強力なツールです。ユーザーの行動を多角的に分析し、仮説検証のサイクルを回すことで、あなたのWebサイトは着実に改善されていくでしょう。

まずは、今回紹介した「自由形式」「ファネル探索」「経路探索」の3つのテンプレートから、あなたのサイトのデータを使って実際に触ってみてください。データに基づいた意思決定が、ビジネス成長の強力な武器となるはずです。

コメント