RFM分析とは?【実践編】Excelやスプレッドシートで顧客分析を行う手順も解説

導入

あなたのビジネスの「優良顧客」は、具体的にどのような人たちでしょうか?「よく買ってくれる人」「高額な商品を買ってくれる人」――こうした勘や経験だけに頼ったマーケティングは、顧客の全体像を見誤る危険性があります。

そこで役立つのが、データに基づいた顧客分析手法「RFM分析」です。RFM分析を活用すれば、すべての顧客を客観的な指標でグループ分けし、それぞれの顧客層に最適化されたアプローチを取ることが可能になります。

この記事を読めば、RFM分析の基本的な理論から、多くの人が使い慣れているExcelやGoogleスプレッドシートを使った具体的な分析手順、そして分析結果を明日からのマーケティング施策に活かす方法まで、すべてを理解できます。

第1章:RFM分析の基本

RFM分析は、顧客の購買行動を3つのシンプルな指標で捉える分析手法です。

  • R – Recency(最終購入日): どれだけ最近購入してくれたか。
  • F – Frequency(購入頻度): どれだけ頻繁に購入してくれたか。
  • M – Monetary(購入金額): どれだけ多くのお金を使ってくれたか。

なぜこの3つの指標が重要なのでしょうか?一般的に、「最近購入した顧客ほど、次も購入してくれる可能性が高い」「購入頻度や購入金額が高い顧客ほど、ブランドへの関心が高い」と考えられるためです。これらを組み合わせることで、顧客を多角的に評価し、その「価値」を可視化できるのです。

第2章:【実践編】Excel/スプレッドシートでRFM分析を行う全手順

ここでは、具体的な手順を解説します。顧客ID、購入日、購入金額のデータがあれば、誰でも実践できます。

Step1. データの準備

まず、以下のような購買履歴データを用意します。これが分析の元データとなります。

顧客ID購入日購入金額
0012025/06/158,000
0022025/06/205,000
0012025/07/013,000

Step2. R(最終購入日)の算出

顧客ごとに「最終購入日」を特定し、基準日からの経過日数を計算します。基準日は、分析を行う日(TODAY関数など)を設定します。

  1. ピボットテーブルやMAXIFS関数を使い、顧客IDごとの最終購入日を求めます。
  2. 「基準日 – 最終購入日」で、経過日数を算出します。(日数が少ないほどRの評価は高くなります)

Step3. F(購入頻度)の算出

顧客ごとに購入回数をカウントします。これはピボットテーブルやCOUNTIF関数で簡単に集計できます。

Step4. M(購入金額)の算出

顧客ごとに購入金額を合計します。これもピボットテーブルやSUMIF関数で集計できます。

Step5. RFMのランク分け

ここが分析の要です。算出したR・F・Mの数値を、それぞれ5段階(または3段階など)でスコア化します。

  1. Rのランク分け: R(経過日数)が少ない順に顧客を並べ替え、上位20%を「5点」、次の20%を「4点」…とランク付けします。
  2. Fのランク分け: F(購入回数)が多い順に並べ替え、同様にランク付けします。
  3. Mのランク分け: M(購入金額)が多い順に並べ替え、同様にランク付けします。

これで、各顧客は「Rスコア」「Fスコア」「Mスコア」を持つことになります。

Step6. 顧客のグルーピング

RFMのスコアを元に、顧客を具体的なグループに分類します。例えば、以下のように定義できます。

  • 優良顧客: R=5, F=5, M=5 のような、すべてのスコアが高い顧客。
  • 離反予備軍: R=1 or 2, F=4 or 5, M=4 or 5 のような、かつては優良顧客だったが最近購入がない顧客。
  • 新規顧客: R=5 で、FとMが低い顧客。
  • 安定顧客: 各スコアが平均的な顧客。

第3章:分析結果をマーケティング施策に活かす方法

顧客をグループ分けして終わりではありません。それぞれのグループに合わせた施策を実行しましょう。

  • 優良顧客(R↑F↑M↑):
    • 施策: 新商品の先行案内、限定イベントへの招待、特別なクーポンなど。
    • 目的: さらなるファン化を促進し、長期的な関係を築く。
  • 離反予備軍(R↓F↑M↑):
    • 施策: 「お久しぶりです」クーポン、休眠期間に応じた割引、新商品の案内メールなど。
    • 目的: 再購入を促し、休眠顧客化を防ぐ。
  • 新規顧客(R↑F↓M↓):
    • 施策: サンクスメール、商品の使い方ガイド、2回目購入で使えるクーポンの配布など。
    • 目的: 2回目の購入を後押しし、リピート顧客へと育成する。
  • 貢献度の低い顧客(R↓F↓M↓):
    • 施策: アプローチの優先度を下げ、コストのかかるDMなどを停止する。
    • 目的: マーケティングコストを最適化し、より価値の高い顧客層へリソースを集中させる。

まとめ

RFM分析は、複雑に見える顧客データを整理し、一人ひとりの顧客を深く理解するための、非常に強力な第一歩です。重要なのは、分析して満足するのではなく、その結果を具体的なマーケティング施策に繋げ、顧客との関係をより良くしていくことです。

まずは手元にある購買データを使って、あなたのビジネスの「優良顧客」を見つけ出すことから始めてみませんか?

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